初期の聖歌は、西洋音楽の大部分と同様に、全音階の使用を特徴としたと考えられている。旋法理論は主要な聖歌の作曲よりも後に成立し、出自をまったくことにする2つの伝統を融合させたものである。すなわち、古代ギリシアの伝統を受け継ぐ、純理論的な数値比率理論と、伝統的に培われてきたカントゥスの実践技法である。理論と実践の双方を扱った最初期の著作としては、9世紀に成立したムジカ・エンキリアディス(音楽便覧)およびスコリカ・エンキリアディス(前者の注釈書)の論文群がある。これらは9世紀に流布したものの、より古い、口頭伝承に由来する可能性が高い。エンキリアディスの論文群では、古代ギリシアの音楽理論と類似するテトラコルドを用い、ニ、ホ、ヘ、トの4音を終止音(フィナリス)とする18音の音階を使用しているものの、古代ギリシアの理論とは異なる点がいろいろとある。中でも、各テトラコルドの間がすべて重ならず(ト-イ^変ロ-ハ・ニ-ホ^ヘ-ト・イ-ロ^ハ-ニ・ホ-嬰ヘ^ト-イ・ロ-嬰ハ)、このためにオクターブや完全四度が崩れる点が出てくる(ヘと嬰ヘや、変ロとホなど)点は、中世の基準的な音階と合致せず、長い間音楽学者の疑問となっている。その後、フクバルドゥスによって、フィナリスのテトラコルド(ニ、ホ、ヘ、ト)を応用し、これをギリシアの大・小完全音程理論に基づいて補完し、ロ・変ロが可変の全音階が初めて記述された。これらの試みは、聖歌の実践に適応した音楽理論構築の最初の段階とみなされる。
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1025年頃、グイード・ダレッツォは「ガンマウト」を発展させることで西洋音楽に革命をもたらした。ガンマウトでは、聖歌に用いられるピッチ(音高)は音域の重なるヘクサコルドに組織される。ヘクサコルドの基音としては、ハ音(ナチュラル・ヘクサコルド、ハ-ニ-ホ^ヘ-ト-イ)、ヘ音(変ロを使う、軟ヘクサコルド、ヘ-ト-イ^変ロ-ハ-ニ)、またはト音(ロを使う、硬ヘクサコルド、ト-イ-ロ^ハ-ニ-ホ)がある。変ロは臨時記号ではなく、ヘクサコルドの体系の必須要素とされている、一方、ヘクサコルドに含まれない音の使用はムジカ・フィクタとされた。